鉄格子の向こう側を見て、ホライズンは目を丸くした。
「こんにちは、ホラちゃん」
「えっ、あ……こんにちはジェノくん。あの、えっと……どうしたの?」
 拘束具に身を包み壁に凭れかかっているジェノサイドの肩には、ホリックが寄りかかっていた。腕を組み、サングラスをしたまま俯いている。顔が窺えないが、ぴくりとも動かないところを見ると、すっかり眠っているようだ。
「ん? ホリックのこと?」
「うん。寝てるんだよね、どうして……」
 食事を乗せたプレートを床に置いて、ホライズンは腕の拘束具を外す。ジェノサイドはホリックを起こさないよう空いている左手でパンを取った。もごもごと頬を膨らませる。
「んむ……らあに、あうよ。おういうほひは、ほらひゃん、いないらえれ……」
「こら、食べながら喋っちゃだめ」
「んんんー」
 頷いたジェノサイドは時間をかけてロールパン二つと栄養ドリンクを片付ける。その間もホリックは静かな寝息を立てるだけだった。よほど熟睡しているのか。見たことのない姿にホライズンは驚いた。
「……っとね、たまにあるんだよ。ホラちゃんが見たことないだけで、そんなに珍しくないよ。ふらっと来て寝ていくの」
「そうなの……。なんでここなのかな」
「さあ? 前に静かで良いって言ったから、それじゃないかな」
「静か、って、それは……」
 ここが静かなのは当たり前だ。言うまでもない、ジェノサイドが幽閉されているからだ。彼の出撃がない限り訪れる者はいないも同然。地下牢は常に、ひんやりとした沈黙で満たされている。
 だからかなあ、とホライズンはぼやいた。
「なに?」
「ううん、ホリックさんも疲れてるのかなあって思って」
「そりゃあ、ホリックは一応ヒトだもの」
 ジェノサイドに頭をそっと撫でられても、ホリックの反応はない。ホライズンはその様子がおかしくてクスクスと笑った。
「ホリックさん、子供みたい」
「あはは、ボクならまだしも、ホラちゃんに言われちゃったらなあ」
「ジェノくんにも言われたくないと思うよ」

ホリックとジェノサイドは『相手の肩に寄りかかる』としたらどうなるでしょうか?またはどうしてそうなったのでしょうか? http://shindanmaker.com/233535
…ということで書きました。短時間でSSを書く練習。
140116

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